Back to Analog
ここ数か月で、自分の指向がアナログになっているのを感じる。
IT業界で15年以上働いていたので、これまでずっと「とにかくデジタル最高、アナログは罪」みたいな感じでやっていた。
そんな私が、アナログにアナログに向かっている。
この変化に自分でも驚いている。
デジタル偏重だったことからの反動なのかなとも思う。
デジタル偏重って、例えば、
紙を使うなんて最悪、とにかく減らすのがいい。ディスプレイで見ればいいじゃん、
みたいなやつ。
でもやっぱり紙で出した方が便利なことも多いし、紙にペンで手描きする方が自由度が高いし、そこから広がることもある。書いているとわくわくすることもある。
バッテリーや電波を気にしなくていい。それに手軽だ。起動や検索といった一手間ふた手間を挟まずすぐにコンテンツに触れられる。
紙を出した方が便利だなと思うことは、IT業界にいたときからもよくあった。
例えば、リストを見ながら漏れをチェックをする時や、原稿や資料などの校正などをする時だ。
その時は、紙で出したいと思うのは自分のITスキルが低いからだと自分を責めたり、なんとかやりやすくなる方法はないかとPCとタブレットとスマホを併用していろいろ試していたりしていた。
紙で出すと上司が嫌な顔をしたりなじられたりしていたというのも大きかったと思う。
仕事の作業効率を上げることよりも紙を使わないことによる経費削減が優先という感じだった。
今は、紙で出しても誰にも怒られないので、あの時の恨みをはらすかのように、思い切り紙を楽しんでいる。
レシピを印刷してお気に入りのものばかりをノートに貼り付けてみたり、
ノートに手描きでライフログをつけたり、
メールじゃなくハガキで近況報告をしたり。
すごく自由な気持ちになる。
山用品の店も、クライミングジムも、古いところなので仕事のやり方が非常にアナログだ。
タイムカードが手書きだったり、無かったり、在庫管理や顧客管理が手書きだったりする。
「デジタルでやればラクなのに…」と思うことが何度もあったし、何回か口に出して言ったけれど、スタッフは乗り気じゃなかったし、私もそれ以上は言わなかった。
彼らには別に必要ないことが分かったからだ。
今のままでも十分に仕事は回っているし、導入と教育のコストの方がリターンよりも断然大きい。むしろ損なのだ。
アナログは罪!デジタル化こそ最高!!という狭い世界で行きていた私には、「デジタル化が本当に必要ない」ということが目からウロコだった。
昔の私なら、鼻で笑いながら絶対にデジタル化した方がいいと得意げに主張していたと思う。デジタルが絶対に優位だと信じていた。
前前職では、中小企業の業務のデジタル化をすすめる仕事をしていたので、なおさらだ。
でも今は違うとはっきりわかる。
アナログでも全然いいのだ。
必要になればデジタルを必要なぶんだけ無理せず取り入れればいい。