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いまだによくわからない話2

姉のわからなかった話を書いて思い出した、兄の話。

 

兄が上京して家を出ていって、初めて帰省してきた夏だったから、たぶん兄は19歳で、私が13歳の時。

帰省してきた兄はお土産に、夏物の紺色のハンチング帽をくれた。

ファッションに興味が芽生えたばかりの田舎の子供の私には、都会で買ってきてくれたおしゃれ上級者感漂うアイテムの帽子なうえに、ハンチングだなんて自分で絶対買えない感じだったので、とても嬉しかった。

(当時はカンゴールのハンチングを前後逆にかぶるのが流行っていた)

 

その後、兄となんとなく口喧嘩になってしまった。

怒りだした兄はわーっと大きな声でまくしたてた後、「もういい!俺がやったお土産返せ!!」と言ってきた。

帽子を手放したくなかった私は黙ってその場でじっとしていたが、グズグズしている私を見て更に気が立ったか、兄は「何しよんのか!早く持ってこんか!!」とわめくように怒鳴りだした。

いよいよどうにもならなくなったし怖かったので、諦めた私は帽子を自分の部屋まで取りに行き、戻ってきて兄にしぶしぶ差し出した。

そうすると兄は逆上して、「なんで持ってくるんだ!」と更に大きな声で怒鳴りだした。

心の中で「え?持って来いって自分が言ったんやん…」と思い、わけがわからなかったけど、怒鳴る兄が怖くて私は黙ってその場で突っ立っていた。

兄の大声を見かねた母が間に入って、その場はなんとかなった気がする。

20年以上たった今でもどうすればよかったのかわからない。

持って来いと怒られ、持ってくると怒られって、どっちにしろ怒るんじゃん。

どっちを選んでも悪い結果しかない要求をふっかけてくるとか、どこのヤクザだよ。

 

この話を彼氏にした時、さらっと「俺のことを大切にしろって言ってるんだよ」と言われて、この人の読解力すげえ!って感心したんだけど、それを実際の行動に落とした場合、果たして帽子を持ってこないほうがよかったのか、別の方法があったのか、やっぱり分からない。

口喧嘩の内容は覚えてないけど、いつもどおりよく分からない理由で怒っていたので「お兄ちゃんごめんなさい私が悪かったです」と取りあえず言うという選択肢はなかった気がする。

兄はいつも何が悪いのか私には分からないことで怒りだしたし、言ってるうちに感情が高ぶってくるのか内容もめちゃくちゃになってくる。

怒られるわけが分からず、とりあえず大きな怒鳴り声と怒った顔が怖かった。

 

それにしても、歳の離れた妹(しかもまだ子供)に「俺を大切にしろ!」って要求するとか、意味がわかってもそれはそれでひくわー。

兄は大人になった今でも久しぶりに話すのにえんえん自慢話しかしないような承認欲求の強い人間なので、昔から私は嫌いだった。

しかも価値観が噛み合わないので、すごいだろうと言われても私はすごいとは特に思わないことも多い(むしろそんなことを誇りに思ってるんだこの人…って感じでちょっとひくことが多い)。

でもだからこそ、そういう要求をしてくるんだろうなとも思う。

私の嫌いっていう感情をなんとなく感じ取ってるんだろうなー。